Vol.25 お部屋探しの注意点!通勤時間に偽りあり?
不動産屋が、お部屋探しに関する物件図面を作成するときは、不動産の表示に関する公正競争規約と呼ばれる広告ルール(不動産取引における広告規制)を守らなければなりません。しかし、実際の取引を見ていますと、このルールを守っていない「不当表示」をしている不動産屋がいるようです・・・。
そこで、今回と次回にわたり、お部屋探しに関する広告ルールについてお伝えします。
是非、ご覧になってください!
OLのAさんは、お部屋探しをするにあたり、こだわっていることがありました。それは、「ドア・ツー・ドアで1時間以内の場所にある物件」であることです。
この通勤時間について絶対条件にしていたAさんは、不動産屋の営業マンにその旨を伝え、希望条件を満たしている幾つかの物件を見学し、そのうちの一つを契約しました。
入居後・・・
Aさんに意外な事態が訪れました。なぜか、物件見学の際に確認したはずの通勤時間が、ドア・ツー・ドアで1時間を超えてしまうのです。
「自分の腕時計できちんと確認したのに・・・」Aさんは、どうしても納得がいかないようです。
Aさんの物件について調べたところ、ドア・ツー・ドアで1時間を超えてしまう原因は、電車の所要時間にあることが分かりました。
Aさんが物件を見学したのは、日曜日(休日)の比較的電車がすいている時間帯でした。しかし、Aさんが普段電車を使う時間帯は、朝夕の通勤ラッシュ時となります。この通勤ラッシュの影響により、電車の所要時間が余分にかかってしまうのです。
Aさんが、不動産屋から渡された物件図面には、電車所要時間について次のような記載がありました。「物件最寄り駅から○○駅まで30分です!」
Aさんは、電車所要時間について、物件図面で確認し、見学の際、更に自分の腕時計でも確認しました。しかし、この電車所要時間は、平常時の所要時間であり、通勤時の所要時間ではなかったということです。
不動産の表示に関する公正競争規約において、電車、バス等の交通機関の所要時間は、次の基準により表示することになっています。
・通勤時の所要時間が平常時の所要時間を著しく超えるときは、通勤時の所要時間を明示すること。この場合において、平常時の所要時間をその旨を明示して併記することができる。
Aさんのような失敗をしないためにも、通勤時間を気にする方は、朝夕の通勤ラッシュ時の電車所要時間を前提に調べるようにしましょう。
ポイント 電車所要時間について
Vol.24 不動産屋が言ってはいけない営業トークとは
悪質営業に対する対処法としては、前回(第23回)お伝えしたように、不動産屋に免許を与えている免許権者に相談する、という手段があります。電話による長時間の勧誘など、悪質営業で困っている方は、前回(第23回)のコラムを参考にしてください。
それでは、今回は、前回の続きとして、営業マンが絶対に借主に言ってはならない営業トークについて、お伝えしたいと思います。
是非、ご覧になってください!
サラリーマン勤務のAさんは、ある不動産屋の営業マンの案内のもと、賃貸物件を見学し、その物件で申込みをすることにしました。
Aさんは、申込みをするにあたり「物件の隣にある空地ですが、マンションの建設予定はないのでしょうか?騒音問題が気になりますので・・・」と営業マンに確認したところ、「安心してください。私は20年仲介業務をしています。その経験上、隣地にマンションが建設されることは絶対にありません!」と、その営業マンは自信満々に答えました。Aさんは、「それなら安心・・・」と直ぐに申し込みをし、数日後契約を取り交わしました。
2年後・・・
Aさんは、いつものように会社に向かうためマンションのエントランスを出ると、ふと、隣地に掲げられている看板が目に映りました。その看板には、「分譲マンションの建設予定」と大きな文字で書かれています。
「絶対にマンションは建設されないって言っていたのに・・・」Aさんは、会社に行く気力がなくなってしまいました。
宅建業法と呼ばれる不動産屋を規制する法律において、次のようなルールが定められています。
・契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境又は交通その他の利便について、誤解させるべき断定的判断を提供してはならない
これは、宅建業法において定められている、不動産屋とその従業員がしてはならない業務に関する禁止事項です。つまり、不動産屋の営業マンは、不確定要素があるものについて、将来の環境や利便に関する断定的な意見を述べてはならない、ということです。
事例の場合、「安心してください。私は20年仲介業務をしています。その経験上、隣地にマンションが建設されることは絶対にありません!」と答えた営業マンの言葉には、マンションが建設されない根拠は、どこにも見当たりません。
これは、冷静に考えれば、直ぐにわかることですが、不動産取引に慣れていないAさんは、「不動産仲介のプロが断言するのなら安心!」と考えたのかもしれません。
Aさんの場合、この営業マンの発言は、宅建業法違反となりますので、前回と同様の対策を講じる必要があります。
<対策>
業務に関する禁止事項に違反した不動産屋は、指示処分・業務停止処分の対象となります。不動産屋は、都道府県知事または国土交通大臣の免許を受けています。不動産屋にとって監督者である都道府県知事または国土交通大臣は、頭の上がらない存在です。そこで、この免許権者に相談するというのがひとつの方法です。
例えば、東京都知事の免許を受けている不動産屋に対しては、都庁にある「住宅政策推進部」に、消費者の方からの相談に応じるため、不動産業課内に設けられた不動産相談窓口に相談してみましょう。この窓口では、契約前の一般的な不動産取引に関する相談や、業者が関係した契約後の取引についての苦情や相談を受けています。
住宅政策推進部不動産業課
(面談相談)
新宿区西新宿2-8-1 都庁第2庁舎3階 TEL03(5320)5071(直通)
窓口受付時間(土日、祝日及び年末年始を除く)
9:00~11:00、13:00~16:00
都庁ホームページ(住宅政策推進部不動産業課)
(http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/300soudan.htm)
ポイント 不動産屋の禁止事項
Vol.23 悪質営業をブロック!不動産屋の禁止事項
お部屋探しをするためには、一般的に、不動産屋に連絡し営業マンとやり取りをすることになります。不動産屋の営業マン全員が親切で、紳士的な対応をしてくれればいいのですが、中には、そうではない営業マンもいるようです。
そこで、今回と次回にわたり、悪質営業をブロックする方法についてお伝えします。是非、ご覧になっていただき、悪質営業に対する対処法を身に付けてください!
OLのAさんは、通勤の利便性を考え、都内に引っ越すことにしました。
はじめてのひとり暮らしをする上で、Aさんは、会社の最寄り駅の駅前にある不動産屋に行き、営業マンの案内のもと、いくつかの物件を見学しました。しかし、なかなか気に入るお部屋が見つからず、その日は申込みをすることなく自宅に帰りました。
翌朝・・・
Aさんの携帯電話に、昨日の営業マンから連絡が入りました。Aさんは「今は忙しいので、また後で・・・」と答え電話を切りましたが、その後も、お昼・夕方・夜遅くと、何回もしつこく営業の電話がかかってきました。
自分の携帯電話の番号を営業マンに気軽に教えたAさんも悪いと思いますが、営業ならば、こんなにしつこく電話をしてもいいのでしょうか?
「宅建業法」と呼ばれる不動産屋を規制する法律において、次のようなルールが定められています。
・電話による長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法により、
その者を困惑させることをしてはならない
これは、宅建業法において定められている、不動産屋とその従業員がしてはならない業務に関する禁止事項です。つまり、不動産屋の営業マンは、借主に迷惑となるような、電話による長時間の勧誘などをしてはならないのです。
Aさんの場合、朝・昼・夕方・夜遅くと、何回もしつこく営業の電話がかかってきました。Aさんの私生活に支障があるようでしたら、この営業マンの行為は、宅建業法違反となります。
<対策>
業務に関する禁止事項に違反した不動産屋は、指示処分・業務停止処分の対象となります。不動産屋は、都道府県知事または国土交通大臣の免許を受けています。不動産屋にとって監督者である都道府県知事または国土交通大臣は、頭の上がらない存在です。そこで、この免許権者に相談するというのがひとつの方法です。
例えば、東京都知事の免許を受けている不動産屋であれば、都庁にある「住宅政策推進部」において、消費者の方からの相談に応じるため、不動産業課内に不動産相談窓口を設け、契約前の一般的な不動産取引に関する相談や、業者が関係した契約後の取引についての苦情や相談を受けています。
住宅政策推進部不動産業課
(面談相談)
新宿区西新宿2-8-1 都庁第2庁舎3階 TEL03(5320)5071(直通)
窓口受付時間(土日、祝日及び年末年始を除く)
9:00~11:00、13:00~16:00
都庁ホームページ(住宅政策推進部不動産業課)
(http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/300soudan.htm)
ポイント 不動産屋の禁止事項
Vol.22 不動産仲介料を2倍請求されたらどうする?
前回ご説明したように不動産屋が自ら貸主となり、仲介業者が入らない賃貸物件においては、仲介手数料を支払う必要はありません。つまり、お部屋探しをする上で、仲介手数料は、必ずしも支払う必要のあるお金ではないのです。
仲介手数料について無駄な支払いをしないよう、「取引形態」に注意しましょう。
それでは、今回は、前回の続きとして、仲介手数料に関するふたつ目の秘密をお伝えしたいと思います。
是非、ご覧になってください!
OLとして勤務するAさんは、不動産会社B社の店内で、様々な物件図面を見ていましたが、なかなか気に入るお部屋が見つかりませんでした。「これ以外に、もう他にはないでしょうか?」とAさんが営業マンに尋ねると、「私の友人の不動産屋(C社)が管理しているもので、良い物件がありますので電話してみますね!」とB社の営業マンは笑顔で答えました。
数時間後・・・
Aさんは、B社の営業マンとその友人の営業マンの案内のもと、いくつかの物件を見学し、あるお部屋を気に入り申込書にサインすることにしました。
数日後・・・
審査も無事通り、契約することとなりましたが、Aさんの予想していなかった事態が起きました。なんと、B社とC社の両社から、それぞれ家賃の1ヶ月分の仲介手数料を請求されたのです。
B社の営業マンは、「2社で仲介しましたので、Aさんには、家賃の2ヶ月分を仲介料としてご負担していただきます」とAさんに言いました。
確かに、B社の営業マンが言うように、2社の不動産屋の案内のもと物件を決めたのは事実です。しかし、本当に、B社の営業マンが言うように、家賃の2ヶ月分を仲介手数料として支払わなければならないのでしょうか?
この事例の場合、確かに不動産屋が2社共同で仲介していますが、Aさんは、家賃の2ヶ月分の仲介手数料を支払う必要はありません。
なぜならば、「家賃の1ヶ月分」は、一取引全体の仲介手数料の限度額となっているからです。
ひとつの取引に不動産屋が何社関与したとしても、お部屋探しにおいては、1ヶ月分の家賃(プラス消費税)が、借主が支払う仲介手数料の上限額となっています。
この事例のケースであるならば、家賃の1ヶ月分の仲介手数料を限度として、共同で仲介したB社とC社が、お互いに相談の上、仲介手数料を分け合う形となります。
※「家賃の1ヶ月分」は、不動産屋が受領できる仲介手数料の限度額です。不動産屋によっては、家賃の半分を借主から仲介手数料として受領しているケースもあります。
ポイント 仲介手数料の限度額
Vol.21 不動産屋へ支払う仲介料の秘密!?
アパート・マンションを借りる際には、一般的に仲介手数料を支払うことになります。この仲介手数料の上限額は、賃料の1ヶ月分(プラス消費税)となっていますが、物件によって様々な取り扱いがあります。
「お部屋探しをする上で、賃料の1ヶ月分の仲介手数料を支払うのは当たり前!」とお考えの方も多いようですが、必ずしもそういう訳ではありません。
そこで、今回と次回にわたり、不動産屋へ支払う仲介手数料の秘密!?についてお伝えします。
是非、ご覧になっていただき、仲介手数料について無駄な支払いをすることがないようにしましょう。
※仲介手数料とは、お部屋探しの仲介をした不動産屋に支払う手数料のことを言います
都内にある賃貸マンションを借りることにしたサラリーマンのAさんは、不動産屋(B社)からFAXで送られてきた精算書を確認したところ、下記のような記載がありました。
・○○マンション301号室 貸主(B社)
・敷金20万円(賃料の2ヶ月分)
・礼金20万円(賃料の2ヶ月分)
・仲介手数料10.5万円
・前家賃10万円
・火災保険料1.5万円
Aさんは、FAXで送られてきた精算書の記載金額に問題がないことを確認し、不動産屋(B社)の指定口座にお金を振り込み、2日後、B社の事務所で契約をしました。「無事契約も終わったな・・・」とホッとしたAさんでした。
しかし・・・
引っ越して間もなく、不動産屋に勤務する友人が自宅に遊びに来たとき、テーブルの上に置いてあった精算書を見た友人が、突然「お前、余計なお金を支払っているぞ!」と言いました。Aさんは、すぐに精算書を確認しましたが、Aさんの目には、支払い金額に問題がないように思えます。
Aさんの友人が言うように、本当に、Aさんは何か余計なお金を支払ったのでしょうか?
仲介手数料とは、不動産屋が仲介した場合に、その手数料として支払うお金です。
Aさんが借りた賃貸マンションは、契約の手続きをしたB社が「貸主」となっていますので、Aさんは、直接大家さんと賃貸借契約をしたことになります。
つまり、Aさんが借りた物件の場合、貸主と借主で直接契約を取り交わしたことにより、仲介業者が1社も入らなかったので、Aさんの友人が言うように、Aさんは、本来支払う必要のない「仲介手数料10.5万円」を余計に支払ったことになります。
この事例のように、実際の取引の中でも、不動産屋が自ら貸主となり、仲介業者が入ることなく契約できるアパート・マンションは存在します。
なるべく契約費用を抑えたい方には、お勧めの物件です!
※不動産屋が貸主であっても、他の不動産屋の仲介により契約した場合は、仲介手数料を支払う必要がありますので、ご注意ください
ポイント 仲介する不動産屋がいなければ、仲介手数料は不要!
Vol.20 賃貸物件に盗聴器が仕掛けられていたら!?
最近の賃貸物件では、盗撮・盗聴という、見た目ではわからないところに危険が潜んでいるケースがあります。今回は、前回の続きとして、賃貸物件における悪質な盗撮・盗聴被害の実態についてお伝えします。
OLのAさんは、独り暮らしをはじめるにあたり、防犯面で充実している賃貸物件を希望しています。
様々な防犯に関する情報を集めていたところ、Aさんは、最近、賃貸物件において盗聴器が仕掛けられていることがある、ということを知りました。物件見学しただけではわからない所に盗聴器が仕掛けられている、ということですが、いったい誰がどのような目的で盗聴器を仕掛けるのでしょうか?
盗聴器が仕掛けられるケースのひとつとして、前入居者の存在があげられます。これは、賃貸物件を借りていた人が、退去するにあたり、コンセント内部などに盗聴器を仕掛けるというものです。
盗聴器の設置理由としては、悪戯ということも考えられますが、最悪の場合、空き巣やストーカー行為へと発展する可能性もありますので、十分に注意が必要です。
盗撮器・盗聴器は、「素人では発見しにくい」ということから、対策のひとつとして、盗撮器・盗聴器を発見することができる専門業者に依頼する、ということが考えられます。
現在、盗撮器・盗聴器の発見を専門とする業者も存在します。素人では発見できないものについてはプロに任せる、というのは賢明な手段かもしれません。
但し、この専門業者に依頼するにあたっては、以下の点について注意しましょう。
・専門業者に依頼する前に、調査料金について事前に確認する。
・料金体系は会社によって異なる。盗撮器・盗聴器の発見数に関わらず一定料金の場合、発見数に応じて追加料金が発生する場合など、様々な契約形態が考えられるので、料金体系について書面にて確認する必要がある。
また、盗撮・盗聴被害がストーカー行為等に発展した場合における対策としては、警視庁のホームページをご覧になってください。
ストーカー対策について(警視庁のホームページより抜粋)
・「つきまとい等」「ストーカー行為」のふたつが、ストーカー規制法の対象となる。
・「つきまとい等」を繰り返している相手方に、警察署長等から「ストーカー行為をやめなさい」と警告することができる。さらに、この警告に従わないで相手方がつきまとい等をした場合は、東京都公安委員会が「その行為はやめなさい」と禁止命令を行うことができる。
・ストーカー行為等の対策としては、自らのプライバシーを隠すこと、例えば、相手に生活パターンを読まれないようにする必要がある。手紙等をごみとしてそのまま捨てずに細かく切って捨てる。厚手のカーテンを引き室内を見えないようにする。また、盗聴器などを室内から除去する。
・最寄りの警察署に早めに相談する。警察では、被害防止のためのアドバイスや相手方に注意・警告を行っている。
警視庁「助けて!ストーカーDV対策」参考(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/anzen/sub0.htm)
私の個人的な考えとしては、「ひとりで悩まないこと」が重要なのではないかと思います。犯罪対策のプロである警察・弁護士・両親・友人知人などに、自分の身の危険の事実について、早く知らせることが大切なのではないでしょうか。
ポイント 盗撮器・盗聴器の除去
Vol.19 賃貸物件の悪質な盗撮・盗聴被害の実態!
お部屋探しをする上で、多くの女性が「防犯面で充実した物件」という希望条件をあげます。女性が一人暮らしをするにあたり、防犯面がしっかりしているお部屋を探すことは重要なことだと思います。
防犯面での注意点については、以前、「Vol.7 お部屋探しの夢と現実 そのギャップとは?」にてお伝えしましたが、最近の賃貸物件においては、盗撮・盗聴という見た目ではわからないところにも危険が潜んでいます。当然ではありますが、盗撮器・盗聴器が設置されている賃貸物件では、安心して生活することはできません。
そこで、今回と次回にわたり、悪質な盗撮・盗聴被害の実態についてお伝えします。
希望する女子大に合格したAさんは、通学の利便性を考え、両親と相談した結果、ひとり暮らしをすることにしました。
はじめてのひとり暮らしをする上で、Aさんは、父親から「防犯面でしっかりしている物件を見つけなさい!」ときつく言われていました。
ある日、Aさんが、お部屋探しについて友人に相談すると「この間、雑誌で見たけど、最近、賃貸マンションで盗聴器被害が増えているらしいから、気をつけたほうがいいみたいよ」と言われました。盗聴器という耳慣れないことばでしたが、そのことを考えれば考えるほど、Aさんは怖くなってきました。
エスカレーターに乗っているときの携帯電話を使った盗撮事件については、マスコミを通して知っていますが、本当に盗聴器の被害なんてあるのでしょうか?
警視庁では、ホームページ上で、盗撮事件に関する内容を取り上げています。
盗撮事件について(警視庁のホームページより抜粋)
・盗撮行為は、エスカレーターにおいて、携帯電話に付いているカメラを使用して行われることが多い。
・盗撮事件は、電車内の痴漢行為とは発生傾向が異なる。平日の昼間帯の犯行が多発している。
・犯人の年齢層は、広範囲にわたっている。中高年から少年まで、年齢による傾向は特にない。
・人のスカート内などを盗撮する行為は、迷惑防止条例違反となる。(盗撮に関する罰則→単純:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、常習:2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
・油断している時に被害に遭うことが多い。短いスカートをはいている時は、背後を意識する必要がある。特にエスカレーターに乗る場合は、やや半身になって後方に目を配るなど警戒することで、被害は防げる。
警視庁「性犯罪から身を守る・盗撮」参考
(http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/anzen/sub0.htm)
現在、盗撮器・盗聴器は、インターネット上の通信販売などで、1万円足らずで簡単に購入することができます。
警視庁のホームページにもあるように、カメラ付携帯電話を使った盗撮行為は有名ですが、携帯電話以外にも、様々な種類の盗撮器・盗聴器があります。例えば、盗聴器では、コンセント型のもの・ぬいぐるみを改良したもの等、見た目では盗聴器とわからないものが存在します。
そして、賃貸物件においても、入居時点で、既に盗撮器・盗聴器が設置されている場合があります。
最近、私の会社では、賃貸物件に設置されている可能性がある盗撮器・盗聴器について、お客様から質問されることが増えてきました。私が質問されたお客様は、いずれも女性の方です。
それでは、賃貸物件については、どのような盗撮器・盗聴器の被害が考えられるのでしょうか?この点については、次回、後編においてお伝えしたいと思います。
Vol.18 トラブル続出!お部屋の契約の重要な特約
お部屋を借りるためには、大家さんとお部屋についての賃貸借契約を取り交わさなければなりません。契約書面には、細かな字でたくさんの取り決めが書かれていますので、「全ての内容をじっくりと確認するのは、ちょっと面倒くさいな・・・」と感じる借主の方が多いようです。しかし、この契約書面に書かれている特約の中には、知らないと、入居後、そして、退去時にトラブルに巻き込まれるものがあります。転ばぬ先の杖として、ある程度の基本的な賃貸についてのルールを身につけることは、決して無駄なことではありません。
そこで、今回は、賃貸借契約書面上の重要な特約についてお伝えします!
物件によって敷金の取り扱いが異なるって本当?・・・原状回復について
OLとして勤務するAさんは、実家に戻ることになり、今住んでいるお部屋を解約することにしました。退去後、精算書がAさんの実家のFAX機に送られてきましたが、その金額にビックリ。なんと、預けていた敷金を上回る請求金額が記載されていたのです。
Aさんは、すぐに不動産屋に電話をし、「敷金を上回る金額を請求されるなんて聞いたことありません!」と物件の担当者に強い口調で言いましたが、その営業マンは冷静な口調で「修繕箇所がたくさんありましたのでやむを得ないと思います。正直、これでも、できるだけ安くしたんですよ。」と言いました。確かに、Aさんの不注意によりお部屋を傷つけた箇所は多々ありましたが、敷金を上回る請求金額を支払うことに対して、Aさんは、どうしても納得することができません。
敷金を上回る額のお金を支払わなければならないケースもあります
Aさんが使用していた部屋を調べたところ、不動産屋の精算書に記載されている修繕に関する見積もりが妥当であることがわかりました。残念ながら、Aさんは、敷金を上回る額のお金を支払わなければなりません。
この事例1のようなケースは、実際にも考えられるのです。
それでは、まず、敷金についての基本的な考え方をお伝えします。敷金については、Vol.6「お部屋探しのよくあるトラブルとは?」において、すでにお話していますが、賃貸借契約書の特約の中で、特に重要なものとなりますので、今一度、基本的なことからお伝えします。
敷金とは?
賃貸借契約の際、借主が大家に差し入れる金銭で、借主の未払い賃料・原状回復のときの修理代金などを担保するためのものです。
敷金については、国土交通省監修「原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン」において、お部屋を退出する際の原状回復について、次のような考え方を示されています。
原状回復義務とは(参考文献:原状回復をめぐるトラブル事例とガイドライン)
1.建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
2.賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
3.賃借人の故意(わざと)・過失(不注意)、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等
上記の1.2.については、賃借人に原状回復義務はありません
上記の3.については、賃借人は原状回復義務を負います
また、賃貸借契約書に、借主の負担部分を増やす旨の特約が付いていたとしても、必ずしも、その特約が有効であるとは限りません。次の3つの要件を満たしていなければ、その特約自体が無効となることがあります。
1.特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
2.賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
3.賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
ここで重要なのは、賃借人に故意(わざと)・過失(不注意)等があるときは、その修繕費用について借主が負担しなければならないということです。これは冷静に考えれば、当たり前のことです。いくら賃料を支払っていたからといって、借主の不注意により借りているお部屋を傷めた訳ですから、退室にあたり、その傷めた部分を借主負担で直さなければならない、ということです。敷金は、あくまでも、賃貸借契約の際、借主が大家に差し入れる金銭で、借主の未払い賃料・原状回復のときの修理代金などを担保するためのものです。修繕費用の上限額というものではありません。事例1のように、借主の不注意等により、借りているお部屋を傷めたのであれば、その程度によっては、敷金を上回る額の修理代金を請求される可能性はあります。
最後に、お部屋を綺麗に使っていたのにも関わらず、高額の修繕費用を請求された場合の対策をお伝えします。
下記の流れを参考にしてください。
1.賃貸借契約書を確認し、借主の負担部分を増やす旨の特約が付いているかどうかをチェックする
2.借主の負担部分を増やす旨の特約が付いていた場合、その特約が有効であるかどうかをチェックする
3.精算書に記載されている各修繕項目を見ながら、借主の故意(わざと)・過失(不注意)、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等であるかどうかをチェックする
※善管注意義務違反の具体例:キャスター付イスのキャスター部分の転がりにより、フローリングが傷ついてしまった
※通常の使用を超えるような使用の具体例:重量物を掲示するため、壁にくぎ穴やねじ穴を開けた(ポスターを貼る場合の画鋲穴は除く)
4.不当な請求項目が見つかった場合、その旨を不動産屋に伝え、請求金額を下げるよう交渉する
お部屋の利用制限について・・・楽器・SOHO・ペット等
大学生のBさんは、親元を離れ、一人暮らしを始めることにしました。Bさんが一人暮らしをしたい最大の理由は、友達とのバンド活動をするためです。Bさんは、仲の良い友達とバンドを組み、週2回、夕方から深夜近くまで、学校近くのスタジオを借りて練習をしています。実家は、学校から遠い場所にあったので、何かと不便だったようです。Bさんは、お部屋を借りるため不動産屋に行き、手頃な賃料の物件を借りることにしました。
入居後、特に問題なく暮らしていたBさんでしたが、あるとき、物件を管理している不動産屋の営業マンから「契約違反をしてもらっては困ります!」という電話がかかってきました。Bさんは、慌てて「僕は契約違反なんてしていないですよ!」と言いましたが、その営業マンは「この物件は、楽器不可の物件です。Bさんの楽器の音がうるさいと、当社宛にクレームが入ったんです」と言いました。自分がお金を出して借りている部屋だから自由に使ってもいいじゃないか、とBさんは営業マンに抗弁しましたが、果たしてBさんの主張は正しいのでしょうか?
一般的に、お部屋の中で楽器を使用することはできません!
Bさんが契約した賃貸借契約書を確認したところ「楽器不可」の特約があることが分かりました。つまり、Bさんが借りたお部屋は、楽器を使用することができない物件だったのです。
一般的に、賃貸借契約書の中には、次のような、お部屋の利用制限についての特約が記載されています。
・楽器(ピアノ・エレキギター等)不可
・事務所利用不可(居住のみ)
・ペット(犬・猫)飼育不可
※ペット可物件の詳細については、Vol.7 「お部屋探しの夢と現実 そのギャップとは?」をご覧になってください
賃貸借契約は、貸主と借主がお互いに認めたうえでのルールとなりますので、双方がそのルールを守らなければなりません。一般的な賃貸物件では、お部屋の中でピアノの演奏をしたり、また、愛犬や愛猫を飼育することはできません。
お部屋の中でピアノなどの楽器を演奏したいのであれば、「楽器可」の特約の付いている賃貸物件を借りる必要があります。不動産屋に問い合わせをする際には、「室内でピアノを演奏できる物件はありませんか?」とはじめに伝えることをお勧めします。
ポイント1 敷金の性質を知っておこう!
ポイント2 お部屋には利用制限があります!
・楽器(ピアノ・エレキギター等)不可
・事務所利用不可(居住のみ)
・ペット(犬・猫)飼育不可。
Vol.17 この時期必見!部屋の入居審査は物件で違う
不動産屋を通して気に入ったお部屋が見つかった場合、まずは、その物件について申込みをすることになります。そして、この申込みの際に、貸すか貸さないかを判断するための審査が行われます。この審査内容については、物件(不動産屋)により異なる審査基準が設けられています。審査がとても厳しい物件もあれば、反対に審査がゆるい物件もあります。
そこで、今回は、いくつかの例をもとに、賃貸物件の審査内容の違いについてお伝えします!
審査のきびしい物件があるって本当?・・・必要書類の多い場合
OLとして勤務しているAさんは、気に入ったお部屋が見つかり、申込書に必要事項を記入し、その物件について申し込みをしました。数日後、物件を管理している不動産屋の営業マンから電話があり、「一応、書面上の審査が無事通りましたので、精算書をFAXします。あとは必要書類が揃えば問題ありません。」と言われました。そして、その日の夕方に自宅に精算書がFAXで送られてきました。Aさんが、その精算書を見ると、連帯保証人についても収入証明が必要、と記載されていたので、父親に電話をし、その旨を伝えると、Aさんの父親は、「何で連帯保証人の収入証明まで必要なんだ!そんなの聞いたことない!」と立腹した様子。Aさんは、はじめてのお部屋探しだったので事情がよく分かりません。物件によって必要書類に違いがあるのでしょうか?
連帯保証人に対しても、借主と同様の書類を求める物件がある
まずは、物件見学から契約するまでの流れをお伝えします。一般的に、お部屋探しの流れは下記の通りとなります。
1.お部屋を見学する
2.気に入った物件に申込みをする
3.審査(不動産屋が窓口となり、最終的な判断は貸主がする)
4.審査がおりた後、借主は必要書類を揃える
5.契約
※物件によっては、審査の段階で、ある程度の必要書類を提出しなければならない場合もあります
必要書類(一般的によくあるケース)
・住民票(借主のみ)
・収入証明(借主のみ)
・印鑑証明書(連帯保証人のみ)
このように、必要書類として、一般的によくあるケースとしては、まず、身元確認として借主に住民票の提出を求めます。そして、借主の賃料の支払能力をチェックするために、収入証明(サラリーマンの場合、源泉徴収票のコピー)の提出を求めます。また、連帯保証人には、「私は借主の債務(入居後の賃料の未納など)を保証します」という書面(確約書)に実印で押印してもらい、そのハンコが実印であることを証明するために、印鑑証明書の提出を求めるのです。これが、一般的な必要書類となります。これに対して、審査のきびしい物件の場合の必要書類を見てみましょう。
必要書類(審査のきびしい物件)
・住民票(借主+連帯保証人)
・収入証明(借主+連帯保証人)
・印鑑証明書(借主+連帯保証人)
入居審査の厳しい不動産屋の場合、連帯保証人に対しても、借主と同様の書類を求めます。特に、連帯保証人に対しても、収入証明の提出を求め、連帯保証人の賃料の支払能力もチェックすることになります。十分に賃料を支払える年収があるかどうかについて、借主だけではなく、いざというときに登場することになる連帯保証人に対しても正式な書面(サラリーマンの場合、源泉徴収票のコピー)で確認するということです。
連帯保証人に対して収入証明を求めるケースは比較的少ないので、事例1のように「部屋を借りるだけなのに、何でそこまでしなければならないんだ!」と立腹される方もいるようです。
審査がきびしい、ということは、確実な安定収入を求める貸主にとってメリットがあります。しかし、あまりにも審査がきびしすぎて、なかなか借り手が決まらない物件もありますので、借手市場である現在、貸主の立場で考えても、その見極めが難しいところだと思います。また、借主の立場で考えるならば、いくら審査がきびしくても、全ての条件をクリアできる方なら何も問題ありません。しかし、身内に安定収入を得ている者がいない場合は、会社の上司や友人知人に連帯保証人を依頼するケースがあり、そのとき、源泉徴収票の提出を頼みにくい、ということが考えられます。また、中には「源泉徴収票の提出はちょっと・・・」と断られることも。申込書におおよその年収を記載できても、より具体的な数字までは見せたくない、という心理が働くのでしょうか。これは、親戚に連帯保証人を依頼する場合も同様でしょう。
審査がきびしい物件の場合、借主自身に賃料を支払う能力があっても、連帯保証人の要件が整わないため、断念される方がいるのも事実です。
最後に、借主自身に賃料を支払う能力があり、かつ、連帯保証人の要件が整わない方が、審査の厳しい物件を借りるためのひとつの方法をお伝えします。それは、連帯保証人不要プランのある物件を借りる、ということです。現在、連帯保証人の要件が整わない方を対象にしたプランを用意している不動産屋が増えてきました。このシステムを利用すれば、一定額のお金を支払うことにより、連帯保証人を自分で用意しなくてもお部屋を借りることができます。この連帯保証人不要プランのある物件については、不動産屋から渡される物件図面にその旨が記載されていることが多いので、チェックしてみましょう。
審査のゆるい物件があるって本当?・・・必要書類等の少ない場合
サラリーマン勤務のBさんは、気に入ったお部屋が見つかり、申し込みをしました。数日後、物件を管理している不動産屋から、精算書がFAXで送られてきました。Bさんが、その精算書を見ると、必要書類について、借主の住民票以外何も記載されていませんでした。Bさんは、そのことについて物件を管理している不動産屋に問い合わせると「必要書類は精算書に記載されている通りですよ」と営業マンに言われました。Bさんは、「お部屋探しは意外と楽なんだな」と感じました。
審査のゆるい物件が存在するのも事実
一般的に、借主の賃料の支払能力をチェックするために、収入証明(サラリーマンの場合、源泉徴収票のコピー)の提出を求めますが、不動産屋によっては、この収入証明の提出が不要の場合があります。このように審査がゆるい物件の場合、必要書類を揃えやすい、という点では、借主にとってメリットがあります。極端な話、このような物件の場合、申込書に、年収についてウソの記載をしたとしても、そのお部屋を借りることができる、ということになります。これが、はたしていいことなのかどうかは別としても、このような審査のゆるい物件が存在するのも事実です。
ポイント1 審査がきびしい物件の場合、借主自身に賃料を支払う能力があっても、
連帯保証人の要件が整わないため、断られる場合もある
ポイント2 連帯保証人不要プランのある物件も増えている
Vol.16 トラブルの可能性が高い、部屋の賃貸ルール
お部屋を借りる際には、貸主と借主との間で、民法に規定する賃貸借契約を取り交わすことになります。契約を取り交わすということは、貸主も借主も、一定の法律上のルールを守らなければなりません。
お部屋を借りるにあたっての様々なルールを事前に知ることは、皆さんが、つまらないトラブルに巻き込まれないための重要な知識となります。
そこで、今回は、知らないとトラブルになる可能性が高いルールについてお伝えします。転ばぬ先の杖として、これからお伝えすることをご覧になってください!
契約更新ができない物件があるって本当?・・・定期借家と普通借家の違い
サラリーマン勤務のAさんは、お部屋を借りる契約をするため不動産屋へ行きました。そして、Aさんが契約のテーブルについた後、その不動産屋の営業マンは、たくさんの書類を提示し、Aさんに一生懸命説明しました。最初は、真面目に営業マンの話を聞いていたAさんでしたが、時間が経つにつれ集中力が途切れ、最後あたりは、ほとんど流して聞いていました。
そして、Aさんが契約したお部屋に入居してから2年が経ちました・・・。
そろそろ契約更新の時期になり、Aさんは、更新手続きの準備をするため、契約した不動産屋に電話をしましたが、その不動産屋の営業マンから「この契約は定期借家なので契約の更新はできませんよ!」と意外な返答が帰ってきました。Aさんは、「私は、3、4年は住むつもりで借りたんです。いきなりそんなことを言われても困ります!」と営業マンにきつく言いましたが、その営業マンは、「契約の際に、再契約できない旨は伝えましたし、契約期間満了の1年前にも再度通知しましたよ!」と強気な姿勢。「そんなこと言われても・・・」Aさんは、通知があったことをぼんやりと思い出し、何も言えなくなってしまいました。
契約更新ができない物件はありますのでご注意を!
Aさんが借りたお部屋の賃貸借契約書を調べたところ、定期借家契約であることが分かりました。定期借家契約は、更新しないことを前提とする賃貸借契約となりますので、Aさんは、契約期間が終了したら、ルールに基づき、住んでいるお部屋を退去しなければなりません。お部屋を借りる際の契約は、大きく2つに分けることができますので、事前に、その特徴をしっかりと把握する必要があります。
(定期借家契約の特徴)
・契約の更新がないことを前提とする賃貸借契約
・貸主は、あらかじめ「契約の更新がなく、期間満了により終了する」旨を借主に伝えなければならない
・契約期間が1年以上の場合は、貸主は、期間満了の1年前から6月前までの間に、借主に対して、もう少しで賃貸借契約が終了する旨の通知をしなければならない
事例1の場合、Aさんがトラブルに巻き込まれた原因は、契約の際、Aさんが不動産屋の営業マンの説明を十分に聞いていなかったことにあります。私が見る限り、契約の際に、営業マンの説明を聞き流している借主の方は、たくさんいらっしゃいます。確かに、法律を前提にした話なので、決して面白いものではありません。しかし、この説明を十分に聞かないことによるトラブルが多いのも事実です。後で後悔しないためにも、契約にあたっての不動産屋からの説明は、真剣に聞く必要があります。
Aさんは、契約の更新を望んでいました。契約の更新をすることを希望される方は、「普通借家契約」を結ぶ必要があります。普通借家契約であれば、契約の更新をすることが前提となりますので、事例1のような結果にはならなかったのです。
物件によって解約期間が異なるって本当?・・・途中解約について
何度となく引っ越しているOLのBさんは、新しいお部屋を借りることになり、今住んでいるお部屋の契約を解約するため、不動産屋へ電話をしました。その不動産屋の営業マンに「解約しますので1ヵ月後で契約は終わりですよね」と伝えたところ、「この契約は、解約の申し入れの日から2ヵ月後に終了します」と言われました。Bさんは、営業マンに対して「ちょっと待ってください。今まで何度もお部屋を借りていますが、2ヶ月後に契約が終わるなんて聞いたことないですよ」と伝えましたが、その営業マンは、全く聞き入れてくれませんでした。Bさんは、不動産屋の営業マンに騙されているのでしょうか・・・。
物件によって解約期間は異なります!
事例2のBさんは、決して騙されている訳ではありません。建物の賃貸借契約については、民法という法律で下記のルールが定められています。
・建物賃貸借は、解約の申入れの日から3月を経過したときに終了する
これが、民法のルールとなります。このルールよりも借主に有利なものは有効となりますので、解約の申入れの日から1ヶ月を経過したときに契約は終了する旨の特約は有効であり、また、解約の申入れの日から2ヶ月を経過したときに契約は終了する旨の特約も有効となります。
今住んでいるお部屋から別のお部屋に引っ越すことを前提にした場合、通常は、下記1~3のような流れとなります。
1 新しいお部屋について申込みをする
2 新しいお部屋について審査がおりる
3 今住んでいるお部屋を解約する
今住んでいるお部屋を解約した後に、新しいお部屋探しを始めた場合、契約終了時までに引っ越せないと大問題です。そこで、安全策をとるならば、新しいお部屋について審査がおりた段階で、今住んでいるお部屋を解約するのが無難と言えます。しかし、この流れで考えるならば、解約期間が長くなればなるほど、無駄な賃料を支払わなければなりません。お部屋を解約した後、実家に戻るというのであれば特に問題はないのですが、事例2のような場合には、事前によく検討する必要があります。
民法では、解約の申入れの日から「3ヶ月」まで認められていますが、借主の立場で考えるならば、この期間は短いほど、無駄なお金を支払わなくて済む、ということになります。
ポイント1 定期借家契約は契約の更新がないことを前提としている
ポイント2 途中解約の時には解約の期間に注意すること